山城屋・生もと三兄弟、併せ呑み
造りとして、[生もと]と[山廃]とはどう違うか。細かなニュアンスは違うものの、磨り潰すのが[生もと]、磨り潰さないのが山廃。そこに関係する乳酸。
[米、麹、水]+乳酸/磨り潰す≒[生もと]
[米、麹、水]+乳酸/磨り潰さない≒山廃
もちろん、こんな簡単な説明では埒が開かないが、言いたいこととはちょっとズレるので、これらの説明は専門サイトでご確認いただきたい。
・日本伝統文化スタイル
https://j-tradition.com/sake/yamahai.html
・泉橋酒造
http://izumibashi.com/news/2502/
山城屋というブランド名で醸してくれている越銘醸株式会社。創業は1845年だから、173年前(2018年2月公開)に創業された、新潟県長岡市栃尾、そう、私が好きな[栃尾揚げ]の栃尾の酒。
越の鶴、越の川、本正、山城屋とあり、棚田で米作りをしてくれる酒販店にだけ提供するという壱醸(いちじょう)という酒を醸している。
29BY(Brewery Years:醸造年度:7月1日から翌年の6月30日までが一年。この公開日2月6日は平成29年度醸造となり、29BYとなる)[山城屋]は29BYの酒から本格的に[生もと]仕込に取り組むという宣言をし、醸してくれた酒が、まずはこの三本。正確に言えば、一番右[Kimoto]は宣言前だったか。
が、食に合わせるということが気になって仕方がない私が、義母が作ってくれる[品格のある田舎料理]に合わせる酒として選んでいた山廃であったが、昨年、11月だったか、一番右の[Kimoto]に小山商店で出遭って、すっかり惚れ込んでしまった。どの[品格のある田舎料理]にも合うのである。
いや、田舎料理であれば[生もと]酒ならば何でも合うだろうという説もご尤もだが、そこは機微がある。大人の忖度というよりは好み。春のひとつの味[えぐみ]みたいなものがあると特に酒が冴える。※エグミとは簡単に言ってしまえば、苦味と渋味が合わさった味。詳しくはネット検索で(^^/~
さて、その山城屋だが、左から、[1st Class](三男)、[Standard Class](次男)、[kimoto](長男)という順番で紹介したい。当然のことだが、この順番は私が勝手に付けているだけで、蔵元がそう考えていたり、読んでいる訳ではない、為念。
日本酒には粒度感というものがあると思っている。喉を通っていくときのキレの良さが、三兄弟と言えども、微妙に違う。根底は兄弟なので、非常に似ている。が、[1st Class]という名を付ける一番左の酒は、そのキレ味が[生もと]仕込なのかと思えるほど繊細で、丸いが、新鮮味が跳ねを感じさせる。もう少し寝かせることで落ち着きを見せ、その時にはさらに抜群の酒になる、筈だ。
次男と喩える真ん中の[Standard Class]は一番左の[Kimoto](これが長男かな)に比べの膨らみを抑えて、三男の[1st Class]のはしゃぎ感を抑えて、抑制の利いた味わいを持つ。上下の間に生まれた宿命を背負っている感がある。が、その粒度感は匠の技。美事なまでに整っている。
そして、長男の[Kimoto]だが、両親の試行錯誤で命を授かった感がある。一見、粗野なのだが、継承した越の鶴の芯のしっかりした味わいを持ちながら、キレの良い味わいを感じさせ、食との相性を気にしているかのような素振りを見せる。まるで地方から東京に出て来たばかりの男の子のようだ。肩に力が入って、嘗められまいと必死。だが、彼女ができれば、その時間と共に洗練されていくだろうと余韻を残す。
このように揃えて飲むことも珍しいのだが、揃ってしまったんだ、仕方ない。酒の楽しみ方としてはあっても良いことだ。街で見掛けたら、ぜひ、同じ蔵の酒、同じ銘柄の酒、同じ米、同じ精米歩合、同じ酵母など、合わせられるのであれば合わせて飲んで、その違いを試していただきたい。何かしら日本酒好きのヒントになるはずだ。
それでもその違いが分からないとなると困ったちゃんとなる。確かに、人は十人十色、酒もまた十色と書いているが、どう違うのか、自分の言葉に置き換えて教えて欲しい。
◆山城屋 | 越銘醸株式会社
http://koshimeijo.jp/
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