日置桜二酒・芯の味わいを楽しむ

鳥取県の日置桜。以前、紹介させていただいた千代むすび蔵同様、強力米を醸してくれる酒蔵として名を馳せている蔵のひとつ。それがこの二酒を醸してくれていた。まさに、出遭いものとして楽しませてくれた。
日置桜 しぼりたて生原酒 山眠る
玉栄米70%、日本酒度:16.4、酸度:2.2
詰口年月:2018年1月

日置桜 特別純米生酒 「山滴る」
山田錦米65%、日本酒度:+9.5、酸度:2.0
詰口年月:2018年5月

芯のしっかりした飲み口を持つこの蔵の酒。燗酒にしてその良さを楽しませる酒が多いという印象があり、ついつい遠巻きにしていた。もし、燗酒の方がその旨さを楽しめるだろうと思えば、すぐさま、燗にしてもらうことができるため、一合徳利でいただくことにした。

「山眠る」は冬の季語だそうで、その雪に覆われた水墨画のような絵が浮かぶように醸したという。分からなくもない。私が思うところでは酸味がもっとあるのかと思わせるのだが、その味にトゲがない。端正な造りながらも、猟師のような骨太感を感じさせる仕上がり。切れの良さも手伝って、口から胃へと響く感じが堪らない。うわっついた感じがなく、最近の傾向をやや取り入れたようなところもある。日置桜なのかとさえも思わせる。が、後味に残る微かな苦味、渋味。日置桜のものだ。が、醸し技の新しさに興味をそそられた。

一方、「山滴る」は夏の季語。「山眠る」の味わいを軽やかにした印象。石清水から湧き出る水のような清涼感を持たせたかったと裏ラベルにある。サラッとしているだけではない。しっかりと厚味を感じさせる重量感を持ち、鉈ではない、ナイフの切れ味を思わせる酸味の管理が行き届いた仕上がりの良さに驚かされた。

日置桜が変わろうとしているのかと思わせたが、大地に足を付けた味わいの良さは継承している。それ以上はこの先の酒が答えを持ってくるだろう。

この酒を紹介してくれた居酒屋は燗酒と焼き鳥を中心にしたいということで、「燗鶏道」と書いてカントリーロードと読ませる。素材の旨さと焼き方の巧さで客を呼んでいる。

店の紹介は改めてするが、さまざまなアミノ酸を含む肉にはこういう酒が合うのかもしれないと思わされた。日本酒自体もさまざまなアミノ酸が含まれており、適量をいただくのであれば、ワインよりも日本酒ではないかと思わせるほどだ。

年配の方々が肉を食らうという報道を見掛けるが、あれは正解なのである。理に適っているのである。旨さの足し算が体の中でおこなわれるのである。

完全発酵にこだわる日置桜蔵が醸してくれたこの二酒。肉料理には抜群の相性を持っている。その旨さに箸が止まってしまうかもしれない。が、好みはさまざまだ。十人十色、酒もまた十色。それにしても、実に良い出遭いだった。

夢も現も徒然に

日本酒、ゴルフ、競馬を中心的な話題に あれこれ話を書いていこうと考えており 時には雲のはなしだったり、ニャンズの 話だったりしてもいいじゃないか。形が あるようでないような、まさに雲を掴む というような話ができればと思います。 そう、人生は夢現(ゆめうつつ)。 束の間の人生なのだからいいじゃない?。

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