鉾杉改・日本の夜明け、その傍ら

おいしい酒が増えてきた。ジョエル・ロブションが獺祭とタッグを組んで、日本酒、に合う料理を出す店をパリ8区に開店し、世界に日本酒の名を轟かせ、日仏風料理なるものを届けると言い、日本酒業界にも新たな幕開けとなった。
坂本龍馬、西郷隆盛、高杉晋作か。古い話だが、1980年にアルビン・トフラーが第三の波で第一の波が農業革命、第二の波が産業革命、第三の波が情報革命とした。

それから40年近くも過ぎれば、第四の波としてデバイス革命を挙げても良いのではないかと思えるほど、この情報端末機器は全世界的に普及し、使われている。大きく括れば第三の波なのかと思えなくもないが、それは当世を生きる者としては淋しいモノがある。

どの時代にもその端に位置するモノやコトがある。日本酒の歴史の中でもそれが言えることで、近年、さまざまなエポックが起き、日本酒がさらに面白くなってきた。2020年から先がどうなるのか、いまのところ想像もできないが、蔵元も七十代の蔵元から三十代、四十代の蔵元に代替わりし、蔵の方針も変わり始め、国内市場にこだわることなく、食との相性を求めて、その矛先を海外に向け始めている。

如何せん、パリでは中華系、カンボジア系の移民が多く、SAKEとメニューに書いてあるから頼むと紹興酒が出てくる店も未だにあるらしい。残念なことだが、それが世界レベルなのである。が、その認識を覆すべく[ダッサイ・ジュエル・ロブション]が誕生。SAKEを頼んでも紹興酒が出てくることがなくなっていくだろう。

その時代の傍らにいるというわけではないが、いまさらリンゴ酸を高めて、ワイン風味の純米酒を醸したと謳う酒を出してどうすると思えた一本が今回取り上げたこの酒。気持ちは分かるが王道から外れたアプローチなのではないかと思えたのである。

ところが、飲んでみると実に興味深い味わいで、色、香り、口内で感じる柔らかな酸味、細かな粒度感と喉越しの渋み。白ワインを飲んでいるかのような味わい。酸味の強さも手伝って、チーズ料理が欲しくなるような味わい。本当に日本酒なのかと思えたし、なぜ、この酒を造りたかったのかとか、獺祭の桜井社長の本を読んでいないのかとか、もう、持てる知識のあれこれが頭の中で駆け巡った。

経験則をひとつのレイヤーだと考える。いくつものレイヤーを通り抜けて、考え方や行動に違いが出てくる。それでもあるレイヤーを通過するためには、別の通らなければならないレイヤーを通っていないと、麻雀ではないが手ができないと言わんばかりに発想ができないことがある。そのように迷路のようなレイヤーを通過したがため、この酒ができたのだろうと思得たほど、飲むほどに距離が縮まった。

通るべきして通る経験則。その結果を評価されての経験則。先達からの助言という刺激が加わり、混沌の中でのたうち回るうちに閃く一点。それを造りたくて、醸したくて、この酒ができてきたのではないかと思った。苦悩の酒というと渋みと苦みだけになりそうだが、そこも擦り抜けて、次が見えているのだろう。大いに期待できるものを感じさせてくれた。酒に正々堂々と立ち向かっている。

東京ではあまり見掛けることがないだろう。が、飲み手のレイヤーを重ねる上で、この酒は飲んでおいた方が良い一本だと思う。まあ、十人十色、酒また十色だからして、気の向くままに召し上がれ。

夢も現も徒然に

日本酒、ゴルフ、競馬を中心的な話題に あれこれ話を書いていこうと考えており 時には雲のはなしだったり、ニャンズの 話だったりしてもいいじゃないか。形が あるようでないような、まさに雲を掴む というような話ができればと思います。 そう、人生は夢現(ゆめうつつ)。 束の間の人生なのだからいいじゃない?。

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